こんにちは!ブログ編集担当のKOBAYASHIです!
コンビニやスーパー、ドラッグストアなどで荷卸しを行うために止まっているトラックの後ろ側をふと見たことはありませんか?
トラックの後ろについている大きな鉄やアルミの板が、自動でパタンと水平に倒れ、重そうな荷物を載せたまま地面まで降りていく。
そして荷物を下ろしたら、また持ち上がってトラックの荷台と同じ高さになる。
普段何気なく見掛けているあの装置には、実はちゃんとした名前があります。
一般的には「テールゲートリフター」と呼ばれており、私たちの暮らしに必要な荷物を安全かつスムーズに届けるために、なくてはならない大活躍のシステムなのです。
一方で「それってパワーゲートじゃないの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
この記事では、「自動で上下する便利な板」の正体のほか、「パワーゲート」との違い、使うことによるメリットとデメリットについて紹介します。
「テールゲートリフター」ってなに?

テールゲートリフターを一言で表現するなら「トラック専用の荷物用エレベーター」です。
トラックに荷物を積み込んだり下ろしたりする作業は、人の力で持ち上げるか、あるいは「フォークリフト」と呼ばれる特殊な作業車を使って行われます。
しかし、フォークリフトが荷物のすぐそばまで近寄れない場所や、そもそもフォークリフトがないような店舗の裏口、一般のご家庭への配達などでは、すべて人間の手で荷物を運ばなければなりません。
数十kg、数百kgもある重い荷物を大人の胸の高さほどもあるトラックの荷台から地面へと手作業で下ろすのは、想像するだけでも腰が痛くなりそうな重労働です。
そこで登場するのが「テールゲートリフター」です。
トラックの後ろ側に最初から取り付けられており、ボタンを操作するだけで板が上下します。
作業者は、この板の上に荷物を載せてボタンを押すだけで、安全に、そして力を使うことなく荷台と地面の間で荷物を移動させることができます。
また、カゴの中にたくさんの商品を詰め込んだ「カゴ台車」のまま、ゴロゴロと転がしてスムーズに乗り降りさせることも可能です。
毎日コンビニやスーパーでお弁当や飲み物を買えるのも、ドラッグストアにたくさんの日用品が並んでいるのも、この装置が裏方として大活躍してくれているおかげなのです。
「テールゲートリフター」と「パワーゲート」の何が違う?

ここで一つの疑問が浮かぶ方もいるかもしれません。
「テレビや仕事場で『パワーゲート』って言葉を聞いたことがあるけれど、それとは何が違うの?」という疑問です。
結論、これらは「基本的には同じもの」を指しています。
では、なぜ2つの呼び名があるのか、その理由は言葉の生まれ方にあります。
日本の有名な特装車メーカー(トラックの荷台部分などを作る専門会社)である極東開発工業株式会社が開発した、油圧式昇降装置の「商品名(登録商標)」
日本の法律(労働安全衛生規則など)や、行政のルールにおいて公式に使われている「正式な一般名称」
物流の現場やトラック業界では、昔からの親しみを込めて「パワーゲート」と呼ぶことがとても多いのですが、公的な書類や安全ルールの解説などでは「テールゲートリフター」という言葉が使われます。
ちなみに、もう一社の有名メーカーである新明和工業株式会社では、この装置のことを「マルチゲート」や「ぱわーる」といった独自のブランド名で呼んでいます。
形状や動き方にもいくつかのタイプがあり、板がそのまま垂直に上下するタイプもあれば、普段は荷台の下に折りたたんで収納されており、使うときだけ斜め後ろに迫り出すように展開するタイプ(キャリオーバー型やカンチレバー型などと呼ばれます)もあります。
形やメーカーによる呼び名の違いはありますが「荷物の積み下ろしを劇的にラクにするエレベーター」という目的はすべて共通しています。
テールゲートリフターを導入する大きなメリット

トラックにこの便利な「エレベーター」をつけることで、具体的にどのような良いことがあるのでしょうか。
運送会社やドライバーだけでなく、実は荷物を預ける企業や、荷物を受け取る方にとってもたくさんのメリットがあります。
主なメリットを大きく3つに分けて紹介します。
体への負担が減る
運送業界における最大のメリットは、何といってもドライバーの「肉体的な負担の大幅な軽減」です。
重いお米の袋、何ケースもあるペットボトルの山、重たい機械部品など、毎回腰をかがめて手で持ち上げていたら、どんなに体格の良いプロのドライバーであっても、腰を痛めてしまうかもしれません。
テールゲートリフターがあれば、重たい荷物を台車に載せたままボタン一つで昇降できるため、腕力に頼る必要がほとんどなくなります。
これにより、これまで「体力が持たないかもしれない」と運送業界への就職をためらっていた若い世代や、女性の方、あるいはベテランのシニアドライバーであっても、無理なく安全に活躍できるようになりました。
働く人の可能性を広げ、健康を守るための非常に優れた技術なのです。
荷物を傷つける心配が減る
手作業で重い荷物を何度も持ち上げたり下ろしたりしていると、どれほど気をつけていても、ちょっとした拍子にバランスを崩して落としてしまったり、トラックの壁面にぶつけてしまったりするリスクが生まれます。
テールゲートリフターの板の上に乗せてしまえば、装置が一定のスピードで水平を保ったまま静かに上下してくれるため、荷物に強い衝撃が加わることがありません。
大切な商品を一刻も早く、そしてきれいな状態のままお届けすることは、運送会社にとって最も重要な品質です。
この装置があるおかげで、お預かりした大切な荷物を一分の狂いもなく安全に次の場所へとつなぐことができます。
積み下ろしの時間が短くなる
手作業で行うと1時間かかるような大量の荷下ろしも、テールゲートリフターを使って台車ごとスムーズに転がせば、わずか15分から20分程度で完了させることができます。
作業時間が短くなるということは、トラックが店舗の前に停車している時間を短くできるため、街中での不要な駐車時間を減らすことで、周囲の道路の渋滞を緩和させることにつながります。
また、1店舗ごとの作業時間が減ることで運転手の労働時間、運転時間の減少につながり、時間に急かされることなく仕事に集中することができます。
テールゲートリフターを導入する際に知っておくべきデメリット

一見するとメリットばかりで完璧に見えるテールゲートリフターですが、実はいくつかのデメリットや、使う上で気をつけなければならない注意点も存在します。
プロの運送会社は、これらのデメリットをただ受け入れるのではなく、しっかりとした対策を講じて運用しています。
トラックそのものが重くなり、積載可能となる荷物の量が減る
トラックは道路を安全に走行するために「この車には最大で〇〇kgまで積載が可能」という法律上の限界(最大積載量)が厳しく決められています。
テールゲートリフターは頑丈な鉄やアルミ、そして強力な油圧モーターで作られているため、装置全体の重量が数百キロに及ぶことも珍しくありません。
トラックにこの装置を取り付けると、その装置の重さの分だけ「載せられる荷物の重さ」の枠が削られてしまうのです。
定期的なメンテナンスに手間とお金がかかる
テールゲートリフターは、毎日何百kg、何トンもの重さに耐えながら動く精密な装置です。
そのため、長年使っていると油圧のオイルが古くなったり、ワイヤーが消耗したりします。
もし、作業の途中で突然動かなくなってしまったら、物流がストップしてしまうだけでなく、重大な事故につながる危険もあります。
また、テールゲートリフターの付いたトラックは特殊な車両でもあるため、購入する際にもこの装置を追加するための費用が余分にかかります。
操作を間違えると大怪我や大事故につながる「危険性」がある
ボタン一つで重いものを持ち上げられる強力なパワーを持っているということは、もし使い方を誤れば人間の体を簡単に挟み込んでしまったり、板の上から荷物が転がり落ちてきたりする危険と隣り合わせであるということです。
実際の物流現場では、テールゲートリフターからの転落や荷物の下敷き、指を挟みこんでしまったことで大けがになるといった痛ましい労働災害が過去に報告されています。
また、テールゲートリフターが展開され胸の位置まで上がった状態では、歩行者などの目線だと先端部分が見え難いといった状況になることもあり、思わぬ怪我につながる可能性もあります。
そのため、テールゲートリフターが作業中は前後に三角コーンなど、作業中のため危険であることを周囲に知らせることも重要です。
まとめ
この記事では、「自動で上下する便利な板」の正体のほか「パワーゲート」との違い、使うことによるメリットとデメリットについて紹介しました。
この装置は、特定のメーカーの商品名であるパワーゲートという呼び名で広く親しまれていますが、正式にはテールゲートリフターという荷物用のエレベーターであり、ドライバーの深刻な肉体的負担を劇的に減らすための技術です。
ただ、導入によってトラック自体の重量が増してしまったり、徹底した安全管理や定期的なメンテナンス費用が必要になったりするという課題もあります。
それでも、荷物の破損を防ぎ、納品時間を短縮、運転手の拘束時間を減らすといったメリットは計り知れません。
今後、トラックの後ろで力強く働くあの四角い板を見かけることがあれば、日本の物流をより安全に、そして働く人に優しく変えようとしているプロたちの想いや工夫がそこにあることを、少しだけでも思い出していただけたら幸いです。


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